
| 著者 | stsuruta |
|---|---|
| 発表日 | 2010-06-29 |
| 種別 | 研究報告書 (Research Paper) |
| 著作 | ![]() |
| メタデータ | XML |
昔は、統合失調症患者は気の弱い非暴力的な人であると言われていたが、最近のデータでは、一般集団に比べると少しではあるが暴力発生率が高いということになっていて、特に、治療中断や薬物乱用が合併すると数十倍になると言う。昔は「統合失調症患者は何をするか分らない怖い人」、という偏見があったが、「それは今でも偏見で、統合失調症患者は治療中であれば、暴力発生率は一般集団と同程度である」、というのが、APAの公式発表である。しかし、治療中でも暴力的である患者は多数存在し、彼らの暴力は入院中でも容赦なく発生する。また、抗精神病薬の暴力に対する効果が喧伝されているのは、あくまで短期の効果であり、長期予防効果は立証されていない。彼らの暴力が精神症状の悪化と関連していることは半分くらいにすぎず、症状変化がなくても起こり、7割は予測不能である。しかし、統合失調症患者の暴力は決して特異的なものではない。反社会性人格障害者や認知症患者の暴力と同じで一般集団の暴力と変わる所はない。昔の精神分析的な暴力論(Eフロムのネクロフィリア)から最近の暴力論(M ヴィヴィオルカ)まで、暴力の原因となる精神病があるかのように言われ続けているが、臨床的にはその根拠はない。暴力は人間の宿命であり、精神病者に限定した暴力を検討することは、精神病者に限定した自殺を検討することと同様に不毛なことと私は考えている。


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